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フーレップ動物病院 井上 龍太院長にインタビュー

動物と暮らすことに挑戦してほしいです!

 

院名の「フーレップ」には、どんな想いが込められているんですか?

僕の獣医としての原点なんです。
大学を卒業してすぐに獣医として仕事をしたのが北海道の枝幸町です。
その町の「フーレップ」という集落に、共済組合の診療所がありました。
そこが僕の獣医師としての原点なんです。

 

フーレップ動物病院 井上 龍太院長 1

 

 

北海道の先端ですよね!

そうです。
非常に田舎でしたね。
人の数より牛の数のほうが多いんです。
酪農の方、獣医師の先輩に獣医にしてもらった感じですよ。
獣医としてもう駆け出しも駆け出しだったので本当にお世話になりました。

 

すぐに暮らしには馴染めましたか?

僕は元々アウトドアーが好きなほうでしたのですぐに馴染めました。
離れてもう20年以上経ちましたが、その時の経験が今にいきています。
フーレップの語源は「赤いもの」なんです。
「赤」は命の象徴でもありますのでそれを院名にいただきました。

 

子供の頃から自然が大好きだったんですか?

元々、自然科学が好きっていうのがありましたね。
生まれは千葉の八千代で、雑木林のうっそうとしているところがあって、夏休みはそこに入り浸っていました(笑)

ゲンゴロウもカブトムシもいたましたし。
昆虫ばかり追っかけていた子供でした。

 

身近に動物はいなかったんですか?

全然いなかったです。
過去に動物に囲まれていたわけではないんです。
姉は犬が大好きでしたが、飼わせてもらえなくて小鳥を飼っていましたね。
動物はそれだけです。
生き物に対して「好き」というよりは大変「興味」がありました。

 

獣医になるきっかけは何ですか?

同級生の影響なんです。
小学校5年の時に東京に来てそこで知り合った同級生が、僕と同じように生き物が好きなやつだったんです。
その彼は、先天性の病気を抱えていました。

 

 フーレップ動物病院 井上 龍太院長 2

 

 

その人がきっかけなんですか?

そうなんです。
中学も一緒に通っていて、将来について話していた時に、彼は獣医師になりたいって言うんです。
「こんな体だからしっかり資格を取っていかないと僕は生きていけない」と。

僕は、子供子供していましたからそんなしっかりした考えを聞かされて、ある意味ショックだったんですよね。
その彼の影響ですね。

 

それからですか。

そうです。
それで「よし!俺もなってやろう」と思いました。
それが中学になった頃です。
ですから、獣医になってやろうと中学の時には心に決めていましたね。
動機としては少し変わっていますよね(笑)

 

変わっていますし、決まったのが早いですよね!

そうですよね。
あんまりいろんなこと考えないんですよ。
それからは、動物園の飼育係の体験もやらせてもらったりしました。

 

その同級生の方も一緒にですか?

そうです。
彼とは1年浪人したのも同じで最終的に麻布大学で、同じ研究室で机並べていましたね(笑)
今彼も、横浜の鶴見で開業しています。
病気ももう、良くなったようです。

 

一般的な獣医になる動機とはちょっと違っていますね!

そうですね。
でも子供の頃に犬を飼っていたようなことがあっても、たぶん似たような動機でこの世界にきたと思います。

 

大学卒業してからはどちらに?

北海道の枝幸町の宗谷地区の共済組合ですね。
各町で家畜診療所を持っていて枝幸町の診療所は「フーレップ」にありました。
僕はそこに入ったんです。

 

そこで診ていた動物は何でした?

牛だけでしたね。
乳用牛とあとは馬が多少いました。
犬猫はまず診なかったです。

 

フーレップ動物病院 井上 龍太院長 3

 

 

牛は飼育している人が連れてくるんですか?

酪農家さんには、往診でいくんです。
馬はそりを引っ張るやつなんで体重は1tもありましたね。
「ばん馬」という馬です。

 

そんな大きな馬を何をする為に飼っていたんですかね?

酪農家さんで、1頭、2頭飼っている方もいました。
昭和50年前後は車じゃなく「馬」で牛乳を集めていたんです。
大きな馬を飼っている家は多かったみたいですよ。

 

その頃、小動物を診る機会はなかったんですか?

小動物臨床の勉強はやりたいと思っていました。
本当に田舎の町なので犬猫を専門に診る先生はいないんです。

 

そこにも犬猫はいますよね?

いましたよ。
だから我々が頼まれることがあって春の狂犬病も委託を受けてやっていましたから。
診療所と言っても、聴診器と注射器があって、手術の道具もありましたがほとんど小動物の器具はなかったです。

 

対応出来ないですね。

でもそんな所に、犬が糖尿病になったんで診て欲しいというおばあちゃんが来たんです。
そのわんちゃんは退任間近な盲導犬でおばあちゃんも目の不自由な方でした。

 

おばあちゃんもわんちゃんの世話は大変ですよね。

そうなんですよ。
糖尿病の管理は本当に難しいんです。
僕も詳しい治療のノウハウを知らなかったので申し訳ないけど、ちゃんと治療してあげることは出来ないから「小動物の病院で診てもらって」と、お伝えしたらその後、おばあちゃん来なかったんですよ。

 

おばあちゃんは専門の病院に行ったんですか?

後で聞いてみると、わんちゃんは盲導犬協会に返されたようなんです。
一番辛かったのは、おばあちゃんが「獣医さんに診てもらえなかった」と、言っていたことなんです。

獣医師として、やるべきこと、やらなきゃいけなかったこと、僕は出来ていなかったのかなぁととても反省しました。
そのことはすごく残っていましたしそれからいろいろ考えるようになりましたね。

 

それから小動物を本格的にですか?

そうです。
卒業して10年も経っていましたし小動物の勉強を一からやり直そうと思って、大学時代に所属していた内科の先生のところに相談に行きました。
その方が、すぐに「わかった!わかった!」とお知り合いの先生に、電話をしてくれたんです。
「北海道帰りのこんなやついるんだけど面倒見てやってくれない!」みたいな感じで。
その先生も「一回あってみようか」って。

 

そのお世話になった病院はどんな感じでした?

入った時の印象は、まるで「小児科の救急病棟!」だと思いましたね。

今は24時間の救急病棟はありますけど、その当時はなくて。
朝10~19時までの通常の一般診療の上に24時間対応でしたから、夜中に駆け込みがあるんです。
帰るのが終電になるのは日常茶飯事でした。
診療車に全員乗り込んで帰ったりすることがありました。
そんなところでしたね。

 

フーレップ動物病院 井上 龍太院長 4

 

獣医になって良かったことはありますか?

この仕事をしていなかったら、こういうお付き合いはなかったんだろうなぁというものがたくさんあります。
まず、獣医師になっていなかったら北海道で10年も仕事をやってこれていないと思っています。

それに、今のこの病院には普通の家庭の方はもちろん、きっとお偉い方もいらっしゃっていると思うんです。

 

そうですよね。

その方、その方の動物と自分という「素の部分」でお付き合いしている。
正直な世界でお話し出来るということです。
それが、この仕事をやっていなければ、このいうお付き合いをこういう方とは出来ていないなぁとよく思います。

 

それがやりがいを感じる時ですね!

そうですね。
「やりがい」ということだと前職のことですが、今でも覚えていることがあります。

遠くから来ていた方ですが心臓が悪くて診ていたわんちゃんが亡くなって、暫く立っていらっしゃった時に、こう言ってくださったんです。
「先生!お願いですから診療以外にお話することに料金を設定してください!」、「そうじゃないと私達はもう来れないじゃないですか!」って!

 

最高の言葉ですね!!

僕も一生懸命処置しましたが結果亡くなってしまって病院にくれば、思い出すのが辛くてもういらっしゃらない方もたくさんいるわけです。
でも逆にそういう風に言ってくださる方もいらっしゃる。
自分も一生懸命治療した!これが成果なんのかなぁとその時に思いました。

 

飼い主さんに伝わっているこということですね。

ここでもそうですが家で亡くなっても、最後に「先生診てあげて!」って、連れてくる方がいらっしゃいます。
「先生、もう来れなくなっちゃった」って。
でも、またいつでも遊びに来て下さいと言ってます。

 

これから飼おうとする人へアドバイスは何かありますか?

はい!
動物と一緒に暮らすことの「素晴らしさ、楽しさ」は飼ってみないとわからないので、是非、挑戦して飼ってもらいたいということです。
わからないことがあれば、いつでも相談してほしい。

例えば一人暮らしの方が犬を飼われて仕事行けば、その人が寂しくて飼われるお気持ちはわかるんですが犬も寂しいですよね(笑)
仔犬が半日一人ぼっち?
それはとてもかわいそうなことです。

 

飼う前はワクワクが大きいですからね。

そうですよね(笑)
ただ自分の中でイメージが膨らむのはいいのですが、「こういう状況に陥ったら」の自分をシュミレーションしてみようと、僕ら獣医の立場から言っていかなきゃいけないのかなと思っています。

例えば、お出かけしたい時にわんちゃんはどうするの?とか。

 

暮らしの中心を動物にしなきゃいけないですよね。

犬猫と一緒に暮らすと自分に結構制約がかかるでしょ!
そのことはわりと考えられなくなってしまう。
その部分は獣医が伝えなきゃいけないことだと思っています。
こういう犬種飼うならこういうことに気を付けて飼ってくださいと!
病気の観点から言えます。

 

病院に来る人は意識が高い人なんですかね?

それはどうかわかりません。
やはり僕も力不足なんですけど、よくコミュニケーションがとれている人は来てくださいます。
こちらも話して、よく相談してくれるなぁという人は来てくれますね。
だけど最初の一年で終わる人がいます。
暫くたって、「こんなんなっちゃった」って連れてくる方もいらっしゃいます。

 

もっと早く連れて来て欲しいですね。

そうですね。
ただ、じゃその方が意識が低いのかというと違うと思います。
そういうことも考えると動物病院はもっと「敷居」が低くてもいいのかなと思っています。

 

獣医はどんな人が合っていると思いますか?

獣医って職域がとても広いんです。
ただ臨床やって特に小動物をやりたい人の中にもいろいろタイプがあります。

高度医療を突き詰めたい人もいるでしょうけど、僕は「町医者」だと思っています(笑)
一番初めの窓口的な存在ですね。

 

もっと来やすく敷居の低い場所がいいですね。

そうです。
そう考えると、獣医に向いている人間は、基本的にいろいろな人と話すのが好きな人だと思います(笑)
あとは、気にしないじゃないですけど、「クヨクヨしない人」ですかね

 

そうですね(笑)!
井上先生の元気の源はなんですか?

基本的に天真爛漫なんじゃないですか(笑)
毎日飼い主さんからたくさん元気をもらっていますよ!

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2015月07月病院の情報

病院名 フーレップ動物病院
院長名 井上 龍太院長
住所 〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町2-48-5
最寄り駅 都営地下鉄新宿線 浜町駅 徒歩4分
電話番号 03-5695-1122
診療時間 午前 9:00~12:00 月・火・水・金・土・日 午後15:00~19:00 月・火・水・金 午後13:00~19:00 土・日
休診日 木曜日
診療対象動物 犬、猫、うさぎ、ハムスター、フェレット、その他小動物(モルモット、エキゾチックアニマル)
その他 トリミング、ペットホテル
ホームページ http://www.fureppu-ah.com/