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武井動物病院 武井 達之輔 元院長にインタビュー

動物病院は「人と動物をうまく生活させる為にアドバイスを与えるところ」でもあるんです!

 

取材前に病院を隅々まで見せて頂いてありがとうございました!
どうして見せて頂いたんですか?

病院の中というものは先生のやる気が見えます。
その先生の雰囲気を何となく掴めるんです。
僕が病院に対してどれだけ「打ち込んでいるか」、どれだけ「楽しんでいるか」知ってもらいたくてお見せしました。

 

武井動物病院 武井達之輔院長 1

 

 

伝わってきました!
特にどれだけ楽しんでやられているかが(笑)

よくおばあちゃんには「次から次へと機械を買って先生は道楽もんだね!」って言われるんです(笑)
患者さんには医療関係の方も多いですし、よく見ていますよ。
病気を診る上で投資をしない病院は、やはり動物への愛情が足りないんじゃないかなと思います。

 

なるほど!そうですね。

いくばくかの利益を、より精度の高い診察をする為に必要なものを購入することは大事だと思っています。
昔はダメだったものが今は助かるかもしれない。
機械だけじゃないですがそれが自分のポリシーですから!
妥協はしません。

 

獣医になろうしたきっかけを教えてください?

犬や猫は小さい時に母親が飼っていました。
私自身、親父が獣医ということもないのですが、小学校の時の作文を見てみると、「医者か獣医になりたい!」と書いていましたね(笑)

 

小学校の時からの夢だったんですね!

大学で獣医学部に入って進む道を手探りで考えていた時に,、やっぱり身近な小動物が自分にあっているのではないかなと思っていました。
当時の日本の獣医学はアメリカなどの諸外国にかなり遅れていたんです。
アメリカに一度行った時、カルチャーショックを受けました。
その差は大きかったですね。
これは、「まだまだ上があるから楽しいぞ!」と思ったのがきっかけです。

 

先生の基準は「楽しい」がキーワードですね!
先生にとって治療する上で大切なことはなんですか?

病気を診た時にその病気を患者さんに、いかに納得出来るだけの説明が出来るかどうかだと思います。
そうすると次に同じような病気で何か違うことが起きた時に、前とは違う判断基準を持てるようになる。
飼い主さんのレベルも上がります。
レベルが上がることで治療だけでなく「予防」もしなきゃと意識が変わります。

 

その場だけでなく、意識を変えて予防にも目がいくようにするのですね。
それが心掛けていることですか?

一番大事なことだと思っています。
この世界で臨床に入った時に、やはりそこが欠けていると思っていました。
それでは、飼い主さんが可哀相だし納得いかないんじゃないかと。
少なからず、必要な検査はこういう理由で必要だということは提示します。
そこで妥協は絶対にしません。

 

そうですね。

なぜなら、方向性、診断を誤ってしまう可能性がありますから。
痛みが原因だったら、痛み止めをやってそれが無くなるかやってみようと提案をしてあげます。
お金があるから全部治療出来るのではなくて全てオーダーメイドなんです。

 

飼い主さんごとのオーダーメイドですか?

飼い主さんは飼い主さんなりの希望を言ってもらって、それじゃその中で出来るとしたら私はその中で検査があれば、今この子に必要な検査は「これとこれ!」というふうにやらせてもらいます。
飼い主さんの意向を聞いて、提案と言う形で手術も無理強いはしません。

 

そこまでしっかり提案してもらえると家族も相談出来ますね。

そうです。
必ず、一回お家に持ち帰って頂いて家族みんなで話し合ってもらいます。
家族の中には嫌いな人がいるかもしれない。
でもひょっとしたら、今まで興味もなかったけど、そのことがきっかけでまたひとつ目が出るかもしれない。

 

武井動物病院 武井達之輔院長 2

 

 

そうですね!
大きなきっかけになります。

例えば、拾ってきた猫も同じ。
最初は反対されて、子供達だけで内緒で飼って。それで病気しちゃった。
あぁお金がかかる。。。どうしよう、親にばれる。

 

よく聞くお話ですね。

最初は動物が来たことで、家の中がガチャガチャして喧嘩ばかりでも、そのうち今まで話しもしなかったお父さんも巻き込んで、結果的には子供はイキイキとしてくるし、そういう子供は大人になった時に動物を捨てるような大人にはなりませんよ(笑)

 

小さい時の思い出は影響が大きいですからね。

食事だけではなく医療費もきちんと考えないと一緒に生きていけないし、ただ可愛いから飼っちゃいました、病気になっちゃっいましたじゃどうしようもならない、じゃあ捨てようとならないようするためには、やはり小さい時からの教育が大事だと思っています。

 

そうですね。

小さい時から動物も病気をしたら病院へ、そして「飼ったら最後まで」の教育をしたら大事にしますし、「三つ子の魂百までも」というように、親が動物を大事にしているのを見ている子は同じように大事にしますよ。

 

親は何よりのお手本ですからね。
そんな活動もされているんですか?

僕が理事をやっている幼稚園では、年に1回、動物には動物の病院があってどんなところかを教えて実際動物にさわって体験してもらうんです。
動物が病気になったら「病院にいくんだよ」と教えています。

 

子供はどんな表情になりますか?

その中で動物を飼ったこともない、動物病院に行ったこともない子はもうイキイキしていますよ(笑)
誰よりも早く動物の中に入りたくて、目はキラキラしています(笑)
随分経って「どうだった?」って感想を聞くと、「動物飼ったら動物病院へワクチンで連れていかなきゃ!」って言うんです(笑)

 

そこにはどんな動物がいるのですか?

猫4匹、鳥は10種類以上20羽、うさぎ、ハリネズミ、100キロのゾウガメもいます(笑)
動物を飼っていない子供達も動物に触れられるんです。
教育の最初の一歩を創ろうと思っています。

 

それは親御さんも喜びますね!

親御さんたちは、今は動物飼えないけどあそこに行けば触れられる!
「いつか動物飼えるようになったら飼おうね」、もしくは、「あなたが大きくなって飼えるようになったら飼いなさい」という会話になりますよ。

 

動物を介したイキイキした会話ですね。

たくさんの動物を飼っていると、「あのオウムはどこいったの?」と誰かが言った時に、「みんなでお葬式しよう」ってまた誰かが言います。
「嘘だぁ!寝ているだけだよ」っていう子や「また飼えばいいじゃん!」っていう子もいます。
冷たくなって、固くなって死に対する考え方、これが「死」なんだと、機会を与えてあげるのも大事だと思います。

 

そんな活動でもっともっと動物病院との距離が近くなればいいですね。

そうですね。
昔の獣医さんは、ちょっと難しい質問をすると「素人がそんなことを!」なんて言ったりもしていましたね。

 

動物病院にそんなイメージを持った人はまだいると思いますが、今は違いますよね?

そうです。今は違います。
例え知らなくてもいいことを極力教えてあげて医療的な難しい話になっても、なるべく飼い主さんに分かり易く説明するのも獣医の役割なんです。

 

難しい話は頭に残らないですから。

そうなんです。
逆に説明が出来ないということは勉強不足なんです。
病気に対して勉強が足りないから噛み砕いて説明出来ないんです。
飼い主さんが説明を求めた時に、専門用語を並べて怒る先生は噛み砕いて分かり易く説明出来る知識がないから怒るのだと思います。

 

変えなきゃいけないですね。

それは変えていかなきゃいけない。
そんな世界ではないんです!
病院にいらしてくれた飼い主さんには当然費用を頂いていますから、検査して治していかなきゃいけない立場なんです。
飼い主さんにはその権利があるはずですから大いに求めていいはずなんです(笑)

 

何でも聞きたいこと聞いていいんですね!

勿論ですよ!
何も怖がらなくてもいいんです(笑)
そうすると色々な話しが出来るじゃないですか!
雑談でも治療に繋がっていくことはたくさんありますから。

 

「気軽に」がみんなに一番知ってもらいたいことですね。
ところで先生は今、動物は飼っていますか?

いますよ。
私の家では仔犬の時から飼ったことがないんです(笑)
老夫婦の旦那様が亡くなって、奥様だけになって老人ホームには入らなきゃならないからわんちゃん飼えないんです、というやむを得ない理由で引き取ったり。
この子、もうちょっと性格が良かったら貰ってもらえるんですが駄目なんです、噛んだり唸ったりして。。。
「それじゃしょうがないな。とりあえず置いていきなよ」って言う具合に。

そんな感じでずっと飼ってますから、子供や奥さんも小さい時から飼いたかったって言っています(笑)
多い時は7頭ぐらいいましたから。今は4頭。兎も猫と一緒にいますし。犬もいます。

 

これから飼おうとしている人へメッセージを頂けますか!

動物を飼うという段階で、可愛いから飼いました!
飼う理由に「可愛い」は勿論あってもいいのですが、飼うからには最後の最後まで。

途中で歩けなくなっちゃうかもしれない。
最悪のことまで考えても「飼えるという自信」があれば飼って頂きたいですね。
ハンドバックなどの飾り物ではないですから。

 

絶対、物として考えないで欲しいです。

途中で買い替えるわけにもいかないですから、その辺は心して飼ってもらいたいです。
もし飼うのであれば、その前に動物病院に行って、「家族構成はこんなで」「住宅環境はこうで」「小さい子供がいて」・・こんな状況ですがどういう犬種を飼ったらよいですか?
というざっくばらんに聞いてもらえばいいんです。

 

そんな気軽に飼う前に来ていいんですか?

もちろんです!良いですよ。
そういう人たくさんいますよ。
「知り合いの人から聞いたんですけど、先生のところに聞いたほうが良いと言われて」、「実は今私のところには、乳飲み子と3歳になるやんちゃな子供がいるんですけど、どんな犬種がいいですかね?」って!

 

今までの動物病院の考え方とはちょっと違いますね。

動物病院は病気を治すだけではなく、「人と動物をうまく生活させる為にアドバイスを与えるところ」でもあるんです!

 

自分だけのアドバイスは本当に助かりますね。

飼っている人だけが来るところではないんです。
飼う前に来て欲しいところなんです!
その為には、今いらしてくれている患者さん達に、獣医さんは高いところにいる人達ではなくてその辺にいるおじちゃんだよ!
だから聞いてみなよ!ちょっとおっかない顔してるけど聞いたら答えるよ(笑)っていうふうな位置づけじゃなきゃ駄目なんです。
そうやって訪ねて下さればだんだんと広がっていくものですよ。

 

武井動物病院 武井達之輔院長 3

 

 

広がって欲しいですね!

逆に尋ねられたことがないから動物病院の仕事に組み込まれていないんです。
でも入れなきゃ駄目なんです。

 

「飼う前」にしっかりとしたアドバイスをもらえていれば、不幸な動物も生まれないと思います!

そうなんです。
アドバイスしたその人がまたどこかの病院にかかって、その動物が長生き出来るための一つの架け橋になればいいんです。
みんながそんな気持ちでやっていけば、こんなに殺処分とか悲しい世の中ではなくなっていくと思います!

 

本当にそうですね!!

小さい時に動物に対する考え方を教えないといけない。
それには幼稚園、保育園の子が一番インパクトがあるんです。

 

実際どんなことをするんですか?

聴診器とか貸して音を聞かせてあげます、動物も一緒だよ~って!(笑)
「わんちゃんだって笑うよ!」「ねこちゃんだって笑うよ!」って。
そうやってインパクトを与えてあげる。
そういうことがあればお家に帰ってお父さん、お母さんに目をキラキラさせて話しますよ(笑)

 

大きい存在ですね、動物って!

動物を飼っている子は「この子をもっと大事にしなきゃ」という話しになります。
家族の会話に動物の話題が何回も出てくれば、その子供の頭の中にはインプットされるわけですから捨てるわけがないんです。

他の国で行われていることが全て正しいということはないのですが、より悲しい動物がいなくなる為に何が必要なのか?ということも小さい時から植え付けてあげないといけないんです。
もちろん今、可哀相な子達がいるから一匹でも多く助けることを平行してです!

 

平行してですね。

今の現状を打破するだけではなく、これから育ってくる子供達の考え方を少しでもそういう形にしないようにしなければいけません!

 

そうですね。
先生の元気の源は何ですか?

パワーが全然違います!

動物可愛いじゃないですか(笑)やっぱり可愛いですよ!
診察室に入ってきた時におっかない顔してても、治療して翌日、晴々した顔で来ると「あぁ~良かったね!」って。
また飼い主さんも嬉しいんです。

 

本当何よりですね。

でも元気になる為にお世話したのは飼い主さん!あなたでしょ!って。
「先生のお陰で!」って言うけど、半分はあなたでしょって。
そしたら飼い主さんも嬉しいですよ(笑)そしてまたその子が愛おしくなるんです。

 

その連鎖いいです(笑)
息抜きでされていることはありますか?

専ら乗合船に乗って海に行っています。
今はマグロを狙っています(笑)
あとはワラサとか、真鯛とか。
海が大好きなんです!

 

マグロですか?
スケールが大きいですね!!

海が好きな理由にはもう一つあります。
港には猫がいっぱいいるんですよ、どこの港町に行っても。
天日干している畳イワシをサッと食べても、都会の人みたいに目くじら立てて怒らないです。
港の漁師は優しいですから。
だから猫のほうもこの程度なら食べていいだろうと(笑)
うまく関係が出来ているんですよ。

 

幸せでしょうね、猫も(笑)
港の猫と都会の猫は違うものですか?

港の猫は、すぐ足にすり寄ってくるんです(笑)
都会の猫は、一歩近づくと一歩下がっちゃいますね。
船宿の親父に「あの猫達は誰が飼っているの?」って聞くと、「みんなで飼っているんだ!」って言うんです。
みんなでお金出し合って手術しているんですよ。
私が行きつけの近場だと「先生連れてって手術してよ~」って言われます。
「あいよ~」と手術して返してあげるんです!
これが港への恩返しなんです(笑)

 

その風景が容易に想像出来ます(笑)
先生はストレスはたまらなそうでうね!

そうですね!
ストレス貯めてたらいい仕事出来ないですからね!仕事は大好きです(笑)
辞める時まで好きな仕事としてやりたいですね。
嫌いになって辞めるんじゃなく好きで元気なうちに。

 

その為に、今を全開って感じですね。

だから今出来ることだけ出来る範疇で無理をせずにやっています。
おばあちゃま、おじいちゃまはまるで息子に会いにくるように病院に来ますよ(笑)
「今から病院行かなきゃ行けないから、この子見といて~」って!
そういう方達は動物の健康を自分と同じぐらいに見てくれています。

 

獣医になって良かったなぁと思う時はどんな時ですか?

誰が診てもこれはもう駄目だろうという病気の子が、「これは元気になってくれるなぁ!」と思った時には、やっぱりこの仕事を選んで良かったなぁと思いますね(笑)
徹夜で看病しながら手術後の管理で深夜の3,4時まで治療していて、寝てしまって目が覚めたらその子が顔を持ち上げる姿を見ると本当に思いますね(笑)

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2015月07月病院の情報

病院名 武井動物病院
院長名 武井 達之輔元院長
住所 〒186-0004 東京都国立市中3-2-18
最寄り駅 JR国立駅、JR谷保駅、JR矢川駅から各徒歩15分。 ◎立川バス「五商入口」より徒歩1分 ◎立川バス「桐朋」より徒歩5分
電話番号 042-576-9100
診療時間 午前9:00~12:00 午後15:00~19:00 最終受付は30分前
休診日 年中無休 土日祝日も診療
診療対象動物 犬、猫、ウサギ、フェレット、ハムスター、小鳥、その他小動物
その他 駐車場6台完備、駐輪場あり
ホームページ http://www.takei-amc.com/
SNS http://takei-amc.com/wp/category/blog/